Original Story and Character Concepts by Rei Hiroe Directed by Ei Aoki Animation Produced by Studio TROYCA Original TV Animation
interview
2017.04.14
広江礼威原作、あおきえい監督のもと、スタジオTROYCAが世に送り出す『Re:CREATORS(レクリエイターズ)』。オリジナルアニメーション作品ということもあり、いまだストーリーの全容を掴みかねているという方も多いのではないだろうか? そこで今回はアニプレックスのプロデューサー陣に本作へ関わることになった経緯を通じて、視聴者の皆さんに本作の魅力や見どころとなるポイントなどを伺った。
GX:鳥羽さんと黒﨑さんが『レクリエイターズ』に参加したタイミングを教えてください。
鳥羽:僕はかなり初期です。弊社の岩上と小学館の岡本順哉さんが「広江礼威さんでやりましょう」という話をした後、間もなくして岩上から「広江さんで新企画をやろうと思っている」と聞いて、ぜひやりたいと参加しました。そこから改めて広江さんとお会いして、どういう企画にするか内容についてのいろいろなブレストが始まった感じです。
黒﨑:私が参加したのは、それよりもずっとあとで、監督をあおきえいさん、アニメの制作スタジオをトロイカさんにお願いしたいということになり、そこからです。ちょうど『アルドノア・ゼロ』の制作をしていた時期で、その流れで参加しました。その時は、分厚い原作がすでにありました。
鳥羽:広江さんとGX担当編集さんと岡本さんと岩上とで、いろいろブレストしていって、広江さんの中にあったいくつかやりたい案から、最終的に3つぐらいに絞って、そのなかで広江さんの第一希望でもあった『レクリエイターズ』の原型のアイデアで行こうということになりました。ストーリーの骨格となる原作については、まず広江さんに思う存分に書いてもらって、最後まで書き切ってもらうのがよかろうという話になりました。その方が広江さんの色も出るし、そもそも広江さんありきの企画なので、それを他のスタッフがとやかく言うより広江さんのやりたいこと、広江さんの持っている味をどう生かすかが僕らの勝負所だと思っていました。そこから1年半か2年ぐらいかけて書き上げて頂いた原案というか、プロットのテキスト原作は、すでに脚本に近いもので、そのまま調整をかけて話数で割って整理すれば脚本になるくらいのクオリティでした。
GX:上がってきた原作を読んだ感想はどうでしたか?
鳥羽:広江さんの作家としての根っ子の部分が見えるというか、作家性がすごく出ていると感じました。広江さんが物作りをどう考えているか、作っているものに対してどう思っているかという部分が節々に見えました。そして広江さんの持ち味であるキャラクターの広がり。広江さんのキャラクターは、フィクションだけど、ちゃんと地に足がついて生きている感があって、そこから物語の世界が広がっている印象を受けます。それは『レクリエイターズ』でも存分に活かされていて、『ブラック・ラグーン』とはまた違ったエンタメ感も出されていて、そのテイストは僕が初めて見たものだったので興奮しましたね。最初に読めたことは、広江ファンとして最高の気分でした。
黒﨑:広江先生の『ブラック・ラグーン』や『ショック アップ!』など世に出ている作品は読んでいましたが、まず「ガンアクションじゃない!」が純粋な最初の感想です(笑)。あとは鳥羽さんと同じで、漫画家しかりアニメスタッフしかり、物を作る上での根幹の部分での問いかけというのがテーマとしてしっかり入っていて、そこが面白いなと思いました。
GX:『レクリエイターズ』の見どころについて教えてください。
鳥羽:“広江礼威×あおきえい”と銘打っている通り、皆さんが期待するものは、ちゃんと出来上がっています。この二人がタッグを組んだ化学反応はすごいです。原作を全部読み終わって、一番最初に思いついたのがあおきさんの監督起用でした。この話をあおきさんが監督したら、絶対に面白くなると思ったので、次のステップはあおきさんに参加してもらうことが課題でした。そこから黒﨑プロデューサーの出番です。
黒﨑:あおきさんとトロイカの長野社長と、「アルドノア・ゼロ」の終了記念を兼ねて食事をしながら打ち合わせをして。しばらくの間、トロイカでは『レクリエイターズ』のことは「プロジェクトF」と呼ばれてみたいですよ。そのときのお料理がフレンチだったので(笑)。最初のオファーの時は『アルドノア・ゼロ』を制作していた時期と重なっていました。当時は、目の前の作品に集中している状況で、オファーはしたけれど制作状況や監督のスケジュールを検討してもらいつつ、その間に広江さんの原作を読んでもらって、『アルドノア・ゼロ』が終わった頃に『レクリエイターズ』をやりますと返事をもらいました。
鳥羽:あおきさんが原作を読んだ感触がすごくよかったので、あとはスケジュールなどの問題だと思っていました。広江さんにも監督があおきさんならと快諾してもらっていました。広江さんとあおきさんについて、お二人の性格は違うけど、クリエイターとしての好みというかフィーリングは非常に近いと思います。それは、一緒に仕事をしていて実感しています。引っかかる部分や掘り下げる部分が二人とも一緒で、そこがうまくいっている要因でもあるかなと思います。
GX:PVについての感想は届いていますか?
黒﨑:アニメ業界の声だと、「ロボットも魔法少女も出てきて作るのが大変そうですね」といろんな人に言われました(笑)。でも、それを演出的にも絵的にも上手くトロイカさんがまとめてくれていると第1話を見て思いました。トロイカさんはペース配分やバランスの取り方がうまく、どの作品に対しても真摯に向き合う姿勢がフィルムにも現れているスタジオだと思います。だから作画や撮影も安定しています。今回も広江さんの硬質なキャラクター原案を、うまくアニメに翻訳して、ちょっと色っぽいキャラクターデザインになっていると思うので、そこは新鮮だし見てほしいところですね。
GX:PVではアクションシーンも多いように見えました。そのあたりも見どころですか?
黒﨑:『アルドノア・ゼロ』をやって、メカニックを含めたアクションシーンの経験値というか蓄積ができたのは大きかったみたいです。3Dでやるにあたって、どこをどう動かすかとか、技術的なところは『アルドノア・ゼロ』をやっていた経験が活きてくるのではないでしょうか。
鳥羽:アクションも見どころです。あおきさんのアクションシーンは、ケレン味がすごくうまいです。今回は、メカニックなものやファンタジーなど、いろいろなアクション要素が存在する作品だけど、それら全てについての引き出しがある人なので、その意味ではアクション表現という点でも、あおきさんは適任だと思います。PVにもさまざまなジャンルのアクションシーンがありますが、あれをひとりでコントロールしているのは素晴らしいなと思います。
黒﨑:音楽についても、澤野さんの起用はあおきさんのリクエストです。今回はアメコミぽいエンタメモノでいろいろなジャンルのキャラクターが登場しますが、明るいだけじゃなく、大人向けの重さみたいなものは音楽でも出してほしいとあおきさんからオーダーがありました。あおきさんと澤野さんは、ハンス・ジマーが好きなので、その感じはあるかも知れません。
GX:GX読者にメッセージをお願いします。
黒﨑:第1話と第2話は、試写会でぜひ見てもらって。
鳥羽:とにかく早く見せたいですね。これにつきますね。そして、皆さんの感想を聞きたい。
黒﨑:聞きたいですね。GXの読者さんなら「広江さんでこういう話なんだ!」という驚きがあると思います。
鳥羽:まずは、第1話と第2話から作品の良さが存分に詰め込まれていますね。僕は最高の始まり方だなと思っているので、皆さんと同じ思いを共有できればいいなと思っています。こういう仕事をしながらも、広江さんとあおきさんのファンでもあるので、いちファンとしても皆さんと同じ気持ちで楽しんでいきたいです。
文・構成:久村竜二 初出:月刊サンデーGX2017年3月号