BACK TO SPECIAL

Original Story and Character Concepts by Rei Hiroe Directed by Ei Aoki Animation Produced by Studio TROYCA Original TV Animation

Re:CREATORS(レクリエイターズ)

interview

2017.08.26

Re:CREATORS キャストインタビュー #07 小松未可子

“Re:CREATORS(レクリエイターズ)” に登場する、個性的なキャラクターたち。その登場人物たちに命を吹き込むキャストのみなさんに、本ウェブサイト限定掲載のインタビューを行いました! 鈴村健一さんに続いて、連載第7回目となる今回は、セレジア・ユピティリア役を演じる小松未可子さん。セレジア役を演じる中で小松さんが感じたこととは?


「演じる」意識はなく、自然体でお芝居できた

──セレジア役にはオーディションで決まられたのでしょうか?

小松:はい。オーディションではセレジア以外にもアリステリア、アルタイル、真鍳を受けていました。実は颯太も受ける予定だったんですけど、かなり大人数のオーディションだったこともあって、時間がなく颯太はできませんでしたね。

──もしかしたら颯太を女性の声優さんが演じられていた可能性もあったんですね。セレジアという役の第一印象はどんなものでしたか?

小松:第1話から登場する、ある意味でこの作品の象徴になるキャラクターであり、また同時に、“精霊機想曲フォーゲルシュバリエ” という作品を象徴するヒロインでもあったので、いわゆる「戦うヒロイン」「女騎士」らしさを強く意識していました。気が強くて、正義感も強くて、颯太に対しては年齢的にもお姉さんらしくある……そんな「このキャラクターは、こういう属性の持ち主である」というところを、演じる上でもはっきりと表現できたらいいな、と。第1話の時点では「芯の強さ」みたいなものがしっかり伝わればいいなと思っていました。そこから徐々に、自分のいた世界とは違う人間、違う環境に触れることによって変化があらわれるところを表現したいなと思ったんです。第1話の後半の、颯太の家で待ち構えていて「おかえり〜」なんて言っているシーンから、少しずつ彼女が元いた世界では出していなかった感情が表に出始めていたんだろうな、と思います。

──たしかにあの柔らかさは、戦乱続きの厳しい世界ではないものだったでしょうね。

小松:そうですね。そこからは本当にもう、どんどん柔らかくなっていきました。フォーゲルシュバリエに乗れないので、ほかのキャラクターたちと戦っても負けることが多かったですし(笑)。あと、心の根本は変わっていなかったと思いますが、世話焼きお姉さんみたいな部分が出てきたり、茶目っ気のある行動が増えたり、どんどん当たりが柔らかくなっていきました。たぶん、現界したキャラクターの中では一番の常識人だと思うんですよね。

──呼び出されたことで苦悩するキャラと、この世界をとことん楽しむ「エンジョイ勢」のキャラに分かれると思うんですが、セレジアは両者の中間バランスがよい感じがします。

小松:そうなんです。状況を受け入れて楽しむ柔軟性もあるけれど、でもどこかで自分の置かれた立場を引いて見ている部分もあって、自分の未来のことも考えている。地に足の着いているキャラクターでした。

──そんなセレジアらしさを芝居で表現する上で、意識されていた点はありますか?

小松:セレジアに関しては、「演じる」という意識があまりありませんでした。“フォーゲルシュバリエ” の世界にいたときから発していたようなセリフを言うときには「決めセリフ」らしくなるように意識していたんですが、こちらの世界に来て、平和な世界に馴染んでからのセリフでは飾らないようなしゃべり方だったので。本当にこの世界にもともといたかのような馴染み方ができたらいいな、と。そういう意味では、あえていうなら「馴染む」ことは多少意識していたかもしれません。

──自然体な、ご自分と近い雰囲気で演じていた?

小松:そうですね。彼女自身の飾らない、自然体な雰囲気に合わせて、自分もあまり無理をしないように。とても好感の持てるキャラクターだったこともあって、無理をすることはまったくなかったです。

──監督や音響監督からのオーダーで印象に残っているものがあればお訊きしたいです。

小松:鹿屋や颯太に対してお姉さん的に振る舞ったり、ちょっかいを出すところといった、茶目っ気のあるセリフのリテイクが多かったですね。たとえば、第6話の窓から颯太の部屋に入って「そーうた、くーん」って呼びかけるシーンで「ちょっといたずらっぽく」とか「語尾にハートをつける感じで」というディレクションを受けました(笑)。些細なシーンなんですけど、セレジアの変化がちょっとずつ現れるシーンとして、キャラクターを描く上でのターニングポイントになっていたんだと思います。

──なるほど。そんな彼女ですが、終盤にはチャンバーフェスで、かつての同志であるカロンと激しい戦いを繰り広げて行きました。演じる上では、これまでのシーンとの意識の変化があったのでしょうか?

小松:何か無理やり、意識的に変化をさせようということはなかったです。たとえば創造主である松原との関係性だったり、そこまでのストーリーの中で積み重ねてきた思いが、感情が出てくるままに自然と演じさせていただきました。自分で心して決めたのは、彼女が「死」を覚悟するところですね。

──松原との関係はどんな風に捉えていらっしゃいました?

小松:親子関係っぽいところから始まって、次第に創造主というか、クリエイターとしての一面に対する尊敬の気持ちや信頼が芽生えてきましたよね。だからこそ、最後に託す思いを伝えたのは松原だったのかな、と。出会いの瞬間、松原はいい意味で、「神」感がなかったのがよかったですよね。入り口の印象があまりよくなかったことが、その後につながったのかなとも思います。

──自分の作品のキャラにそっくりな美人コスプレイヤーが連絡を取ってきたと思って……。

小松:ホイホイやってきちゃう(笑)。本当に来たよ、がっかりしたわ! というところから始まって、本当にどうしようもないおじさんかと思いきや、作品に対する責任とか、愛情とか、そういう思いをビシビシ伝えてくれる人で。それがセレジアにも伝わっているからこそ、お互いに認め合っていけたんでしょう。途中で言い合いができたのも、ある意味で、お互いの存在を認めたからで。何か、反抗期の娘と父親みたいな雰囲気もありましたよね(笑)。また、セレジアと接することで松原自身も、自分の作品が生きていることを実感して、想いを強くして行った部分もあったと思うんです。お互いがお互いを上手く高められる、最高のコンビだったなと思います。

──特に印象に残った話数、シーンはどこですか?

小松:たくさんあるんですが、自分自身の関わったところでいえば、「小松未可子」という人が(雨宮)天ちゃんと一緒にキャラクターになったのは驚きでした。自分の人生における歴史的瞬間でしたね、まさか自分がアニメになるとは……(笑)。

──あはは。たしかになかなかないことですよね。

小松:うっすらと、「小松さんが『小松未可子』としてこのアニメの中に登場します」という話は聞いていたんですが、どういう状況かまでは、台本を受け取るまで知らなかったんです。いろいろ想像していたんですけど、奇想天外な形でしたね。意外とセレジアを演じるときより苦戦したりもして。

──そうなんですか、意外ですね。

小松:さきほど話したとおり、セレジアはわりと「演じる」という感覚がなかったキャラクターで、声のトーンも普段とそんなに変えていなかったんです。そんなこともあって、逆に「アニメになった小松ってどういうしゃべり方をするんだ?」というところで悩んでしまって(笑)。普段、ラジオやイベントでしゃべっているときのテンション高い感じの私なのか、今、こうして取材でお答えしているような、話している小松の延長線上で演じるべきなのか。いろいろと悩んだ結果、普段の120%くらいのテンションで、イベントバージョンの小松として演じたら、「あの、もうちょっと可愛い感じでお願いします」とディレクションがあって……(笑)。

──なんという(笑)。

小松:わりと悩みました(笑)。でも、「私です」と言うのがしのびないくらい可愛くキャラクターデザインをしていただいて。また私、普段着ている服にノースリーブのものが多いんですが、キャラクターとしての小松の衣装もノースリーブだったので、「特徴を捉えていただいてありがとうございます!」と嬉しかったですね(笑)。

──ほかにはいかがでしょう?

小松:鹿屋が出てきたシーンとかも印象深いです。鹿屋との関係性は、ロボットを使うキャラクター同士というところで、セレジア的には最初からちょっとフレンドリーな感じがあって。でも、そうやって話しかけてみたら、「歳下好きだから」と軽くあしらわれてしまう。あそこは、いよいよ中身が出てきたな、っていう場面でした。本当に、キーッ! と怒るところは、愛らしかったなあ。そこ以外でも、颯太やメテオラとは違う鹿屋との関係はおもしろく見ていました。お互いにロボット乗りとして通じ合うところがあって、「ねえ、今度操縦させてよ!」なんて会話もできる。そんな関係性って素敵ですよね。鹿屋は颯太とはまた違った意味で、弟みたいなところがあるのが楽しかったです。

──では、最後に終盤の展開のみどころをお訊かせください。

小松:チャンバーフェスという大決戦を迎えて、アルタイルはもちろん、ほかの現界したキャラクターたちも、どんな結末へと向かって行くのか。それぞれの作品にとっても、キャラクターたちにとっても、「世界の未来」というものが、「誰にとっての未来」であり、どんな未来が「いい未来」なのか。そんなことを考えさせられるような展開を、これから迎えていくことになると思います。もちろんセレジアにとっても、希望のあるラストになっているんじゃないかな? なっていてほしいな……と、私としても思っています。この作品が与えてくれるのは「希望」と「未来」だと信じています。みなさんにも、そんな願いを携えながら、最後までぜひご覧いただけたらうれしいです。


小松未可子
主な出演作―“亜人”(下村泉)  “クラシカロイド”(音羽歌苗) “昭和元禄落語心中 -助六再び篇-”(信之助) “サクラクエスト”(香月早苗) など多数

インタビュー・構成―前田久