Original Story and Character Concepts by Rei Hiroe Directed by Ei Aoki Animation Produced by Studio TROYCA Original TV Animation
interview
2017.07.01
“Re:CREATORS(レクリエイターズ)” に登場する、個性的なキャラクターたち。その登場人物たちに命を吹き込むキャストのみなさんに、本ウェブサイト限定掲載のインタビューを行いました! 雨宮天さんに続いて、連載第5回目となる今回は、メテオラ・エスターライヒ役を演じる水瀬いのりさん。セリフ数も多く、記憶に残るセリフが印象的なメテオラ役を演じる中で水瀬さんが感じたこととは?
──このインタビューはメテオラがナレーションで大活躍した第13話の放送直後に掲載されます。というわけで、まずは13話のアフレコの思い出からお伺いできますか?
水瀬:13話で今までのストーリーを振り返るような特殊回を放送するということは以前から聞いていて、「そこでは水瀬さんにいろいろとがんばってもらうことがある」みたいなことも言われていたんですが……まさかあんな内容だとは(笑)。メテオラは普段から作品の中でも説明係というか、物事を分析するような役割を担っているキャラクターなので、そういう意味で振り返る際のストーリーテラーみたいな立場を担うのかなと思っていたんです。でも台本をいただいたら、割とハチャメチャな感じになっていて。「がんばってもらう」ってこういうことだったんだ! とびっくりしました(笑)。
──「がんばる」ベクトルが予想外だった、と(笑)。
水瀬:そうですね。物語的にはシリアスめな展開が続いていたんですけど、第13話は息抜きっぽいというか。各話のアフターストーリー的なものも織り交ぜつつ、キャラとしてオーディオコメンタリーをしているような気分でアフレコをやらせていただきましたね。
──本編でもギャグっぽいことを挟むことはありますけど、第13話でのナレーションはすさまじいですよね。
水瀬:本当に。第13話のナレーションでは、しれっとめちゃめちゃなウソをついていますからね。しかもたくさん。「メテオラの日ができた」とか、あることないことをペラペラっと。おまけにとんでもない歌まで歌わせていただいて(笑)。彼女の魅力がふんだんに、余すことなく詰まった13話になったのかなと思っています。演じる私自身も、受け取った台本を読んだとき、ひとりでクスクス笑ってしまったくらいです。
──ここまで他のキャラをいじるのか、というところも印象的でした。
水瀬:それでいうと、第13話を演じてから、弥勒寺のことが好きになりましたね。「カマキリメガネ」って呼んでいるところがすごく好きだな、と。弥勒寺って別にニックネームを他のキャラにつけるタイプじゃないのに、なぜかメテオラだけは「めっちん」と呼んでくれる。それって特別なことなのに、メテオラは心の中で「カマキリメガネ」と呼ぶくらい嫌がっていたんだなと思うと、すごく弥勒寺がかわいそうだなと思って(笑)。
──不憫萌えということでしょうか?
水瀬:それです(笑)。あんなに態度はオラオラとしているのに、板額も真鍳にとられて、ただのちょっと怖いお兄さんになっているところとかも、かわいそうで不憫で萌えるな~と思っています。
──少し意外だったのが、体型コンプレックスがあったことです。
水瀬:実は八頭身に憧れていたんだ! っておどろきますよね(笑)。私的にも、「ああ、私は八頭身の声ではないんだな……」とメテオラと痛み分けをしたところがありました。メテオラ(八頭身)になると、大原さやかさんの声がしっくり来るなぁ……って(笑)。
──では、ここからはあらためて、順を追って役についてのお話を聞かせてください。メテオラ役にはオーディションで決まられたのでしょうか?
水瀬:はい。オーディションで受けてくださいと指名が来ていたのはメテオラだったんですけど、自分の今までやってきた役とはまた違った、クセのある役にも挑戦してみたいなと思って、真鍳にも挑戦しました。
──そうだったんですね。メテオラの第一印象はいかがでしたか?
水瀬:まずはすごく中性的だなと思いました。魔導師っぽい、体型があまりわからないようなふわっとした服だったりとか、銀色の髪でショートカットなところで、美少年にも見えるなって。ですから、セリフを読むことで最初に絵から受ける印象とはまた異なる方向で魅力が爆発する子だなと感じていました。ただ、オーディションの原稿の中にはちょっとギャグを言ったりするようなセリフはあんまりなかったんです。なのでアフレコが始まってから、メテオラのより可愛い部分を知っていった感じですね。
──役作りはどのようにされたのでしょう?
水瀬:オーディションのあとに役を演じる機会がなかったので、第1話のアフレコはキャラクターを決める大事な1話だと思って臨んだんです。そうしたら、セリフが「……」しかなくて(笑)。ほかのキャストのみなさんがどんどん自分のキャラクターを第1話で決めていく中で、なかなか自分のキャラクターをつかめないまま終わってしまったんです。ところが第2話ではいきなりものすごくしゃべっていて、ちょっと不安も残る中で第2話のアフレコはやらせていただいたんです。第1話の最後、Cパートのコンビニに行くシーンは、実はあれはアフレコ上では第2話の冒頭でやらせていただいたシーンなんです。それを監督やスタッフのみなさんが第1話の最後に持ってくることで、たぶん、メテオラというキャラクターの紹介を第1話でしてくださった。あのシーンがメテオラを初めてしっかり演じたシーンだったので、すごく今でも印象に残っていますね。
──いきなり食いしん坊な部分が見えるシーンでもあります。
水瀬:そうですね。それから、ガツガツ来るところがないというか、あんまり気負わないタイプだなとわかったりとか。
──監督や音響監督から役に対するヒントはありましたか?
水瀬:はい。最初は私が彼女のキャラクター性を寡黙で、きちっとした性格と捉えていた部分もあって、出す音も割と歯切れよく、スパッとした、あまり間延びしない印象で演じていたんです。でもコンビニのシーンだったりとか、第2話の冒頭でハンバーガーを食べながらいろいろ説明しているシーンとか、そういったところをアフレコしていく中で、監督や音響監督さんから、「もう少し柔らかく、年相応でもいいですよ」というお話があって、ああ、普通の女の子としての一面を出してもいいんだな、と。そこから声の出し方とか、芝居のやり方が大きく変わりましたね。
──最初の印象よりは柔らかい感じに。
水瀬:そうですね。ただ、メテオラというキャラクターの持つ速度感というか、自分の持つ味は誰にも染まらないし、誰も止めることができない。彼女らしさがいっぱい喋り方につまっているといいなぁ、と。たとえば、みんながテンポよくしゃべっていても、メテオラは常に自分のペース。あまり人に流されることのないキャラクターに仕上げました。
──これまでの話数で印象に残っているシーンやセリフはどこでしょう?
水瀬:メテオラは創造主が亡くなっていることもあって、セレジアと松原さんのような師弟関係、親子関係のようなものを描いたシーンがなかなかないんですけど、その中で菊地原さんとのやりとりがすごく好きですね。第5話で、初めて菊地原さんが笑って、メテオラが「貴女と会ってから、ようやく笑った顔を見た」と言うシーンがあるんですけども、そのシーンはすごくほっこりしました。何かこう、人間とキャラクターとのやりとりの理想とする形というか。創造主ではないものの、人間に対してキャラクターが優しい気持ちをシナリオじゃなく述べる。書かれたお話じゃなくて、自分の気持ちとして話しているというのがすごく素敵だなと思ったんです。物語に出てくるキャラクターは作者が書いたセリフどおりに動くというのが大前提である中で、“Re:CREATORS” のキャラクターたちはどんどん自分個人の気持ちで動き出す。そういう意味ですごくあそこはメテオラらしさが詰まった言葉だった。あの場面は優しい空間でしたね。
──メテオラはもともと優しい人ではあるんですけど、話数が進むとさらに人間味が出てきますよね。
水瀬:そうですね。颯太くんに対してアドバイスを出すシーンとかもあるんですけど、そういったところでもすごくどっしりしているというか、この人にならなんでも話せるな、という空気を作ってくれるキャラクターで。セレジアの「お姉さん」感とはまたちょっと違った意味で「お姉さん」らしいところがあるというか。メテオラはたぶん、親身に相談してくれていることに対して嘘、偽りで返すことが苦手なタイプだと思うんです。真剣にぶつかってきてくれるものには、真剣にぶつからなくては……という態度が見えるキャラクターで、だからこそ、颯太くんがあれほどに苦しんでいる姿には、自分もしっかりぶつからなきゃと思う。メテオラが自分から他人を引き止めたりとか、話をするように促すことってないんですけれども、颯太に対しては違ったんですよね。第8話の「私は貴方の友人。大丈夫」と彼に言うーンでは、メテオラの人間味が深まっていることを感じましたね。
──この “Re:CREATORS” という作品全体の魅力は、どんなところにあると感じていますか?
水瀬:やっぱり、ジャンルを問わないキャラクターがバラバラに出てくるところですね。私のキャラクターはRPGもので、セレジアはラノベ、2クール目に入るとまた違ったジャンルのキャラクターも登場してくるんです。そういう、普通に作品の世界を生きていたら交わることのないキャラクターたちが、現実世界という場所で交わるところが、この作品の醍醐味かなと思っています。キャラクターひとりひとりで戦闘スタイルもまったく違いますし、仲良くなるキャラクター同士もいれば、敵対する関係のキャラクター同士もいる。それぞれに「正しい」とか「正義」という考え方もまったく違って、悪役であっても「自分はこれが正義だ」と思っていることをぶつけてくる。そういう、誰ひとりとして被ることのない個性的なキャラクターが画面の中を動き回るのは、本当にすごいです。
──では最後に、水瀬さんの考える2クール目のみどころは?
水瀬:1クールかけて「軍服の姫君」……アルタイルの存在の秘密と、そこに颯太が大きく関係していることがわかってきたわけですけど、2クール目では真実を知った颯太の心情、覚悟が描かれて行きます。1クール目では振り回されがちな颯太くんでしたけど、ここからは悩んだり、葛藤したり、いろんなものにぶつかっていったり、また違ったいろいろな姿が描かれます。本当に主人公然とした彼の姿を楽しんでいただきつつ、それをまわりでサポートするキャラクターたちの大きさ、尊さも感じて、楽しんでもらえたらと思います。あとは創造主たち、作者の力も重要な要素になってきます。なぜ作者のみなさんが、キャラクターたちから「神様」と呼ばれるのか。物語の後半ではそんな要素も生きてきます。作り手とキャラクターの関係性が大きな鍵となって展開される2クール目をぜひぜひ楽しんでいただきたいです。
──メテオラ的な見どころでいうといかがでしょう?
水瀬:メテオラは、変わらず、安心感のあるキャラクターとしてこの先も周囲をサポートしていくんですけども、その中で、そんなメテオラを苦しめる、彼女でも頭を抱えるような困難が描かれる場面も増えてきます。メテオラが誰と衝突し、誰と和解し、協力していくのか。キャラクター間の関係性も後半に向けて結構変わってくるので、そこも注目ですね。あと、メテオラ自身の戦闘的な部分もどんどん描かれます。難しい呪文を唱えるシーンもあります(笑)。魔法陣を召喚する、カッコいいメテオラにも注目してほしいです!
インタビュー・構成―前田久