Original Story and Character Concepts by Rei Hiroe Directed by Ei Aoki Animation Produced by Studio TROYCA Original TV Animation
interview
2017.06.17
“Re:CREATORS(レクリエイターズ)” に登場する、個性的なキャラクターたち。その登場人物たちに命を吹き込むキャストのみなさんに、本ウェブサイト限定掲載のインタビューを行いました! 坂本真綾さんに続いて、連載第4回目となる今回は、鹿屋瑠偉役を演じる雨宮天さん。巨大ロボット・ギガスマキナのパイロットでもある少年役を演じる中で雨宮さんが感じたこととは?
──鹿屋役にはオーディションで決まられたのでしょうか?
雨宮:オーディションは受けさせていただいていたんですけど、そのときに演じたのは真鍳とアリステリアで、鹿屋に関してはオーディションキャラではなかったんです。だから、オーディションから役に決まるまでのあいだに結構時間が経っていたこともあって、最初にオファーをいただいたときは「鹿屋瑠偉って、どんな子だったっけ……?」みたいな状態でした。
──役の第一印象はいかがでした?
雨宮:いただいた資料を読んで最初に思ったのは「こんなに大きい男の子なんだ!?」でした。オファーをいただいた時点で男の子だとは聞いていたんですが、もっと小さな男の子なのかなと思っていたんです。まさか16歳とは思わず……。見た目は中性的なんですけど、年齢的にはしっかりと男性だよなと思って、衝撃でしたし、どうしよう!? って思いました。お話をいただいた時点では、まだ全然男の子役を演じたことがなかったんです。だからすごく不安もありました。
──監督のあおきえいさんとは“アルドノア・ゼロ”以来のお仕事ですが、アフレコに臨むにあたって何かお話はされましたか?
雨宮:打ち入りのときに少しお話しさせていただいたんですが、緊張もしてしまって、あまり作品や役について深く掘り下げるようなことはお話しできませんでした。“アルドノア・ゼロ” のときの話をするのも、なんだか少し恥ずかしいような気持ちがあって(笑)。でも、またこうしてお仕事がご一緒できることは単純にうれしかったです。
──せっかくなので、少し脱線しますがあおき監督のご印象を聞いてみたいのですが。
雨宮:普段は寡黙な方なんですけど、こちらが作品について質問したり、取材の座談会でご一緒したりすると、とてもたくさんお話ししてくださるんです。作品への熱意や愛がすごく強い、静かに情熱的な方なんだろうなと思っています。
──なるほど。話を戻しますが、今回役作りをされる上では、雨宮さんなりの少年らしさを探られた感じでしょうか?
雨宮:そうですね。初回のアフレコの前に自宅で、自分の中のいちばん低い声、それよりもちょっと高め、結構高め……と何種類かの鹿屋の声を録ってみて、どれがいちばんしっくりくるのか聞き比べてから臨みました。オーディションで演じていないキャラということは、どんな雰囲気で演じたらいいのか指標がまったくないので、最終的には「とりあえず行くしかない!」みたいな気持ちでしたね。それで最初のテスト収録では結構低めの声で演じてみたんですが、そうしたら音響監督さんから「もうちょっと中性的な感じで」と言われたので、少し高くして。その初回の雰囲気をベースにして、現場でキャラクターを作っていった感じです。
──声のトーンから調整されたんですね。彼の内面、性格的な部分にはスッと入り込めましたか?
雨宮:本格的に初登場する第5話の鹿屋がずっとキレているんですよ。「ちょっと困った子だな」って思うくらい(笑)。手足をバタバタしたり、体全体ですごく怒っていて、作者の人にまで「逆ギレキャラだから」みたいに言われてて(笑)。今後もこんな調子で毎話のようにキレるキャラなのかなと思っていたんですけど、その後はそこまでキレまくることはなく、わりとすぐ馴染んでこっちの世界を楽しんでいる。現界してきたキャラクターたちの中でも、かなりこの世界を満喫している方だなって感じがしますよね。だから第6話以降は、そういう普通の男の子な感じを意識しています。あまりしっかりしていなくて、でもちゃっかりしている、現代っ子な感じ。会議でもひとりだけ緊張感がなかったりもするので。
──少しチャラい感じも魅力のひとつかな、と。第5話でセレジアにデートに誘われて、「年下好きなんだ」と返すところとかもおもしろかったです。
雨宮:あはは、そうなんですよね。そのあとも街にいる女の子をナンパして、「僕の持ってるロボットすごいぜ、乗る?」みたいなことを言ってたり、ホント、最初のうちの話数だと地に足の着いてない、若い男の子なんですよね。
──そういう軽い感じ、現代っ子な喋り方は雨宮さんの中から割と自然に出てきたんですか?
雨宮:私の勝手なイメージかもしれないですけど、鹿屋の場合はナンパのシーンとかにしてもいやらしさみたいなものは全然感じなくて、「ちょっと女の子と楽しく話したいんだな」とか、「カッコつけたいんだな」とか、そういう感じじゃないかと思うんです。で、そういう気持ちは結構わかる(笑)。
──わかっちゃうんですか!?(笑)
雨宮:私も「カッコいいって言われたい!」みたいなところはあるし、ちょっとした少年心みたいなものを持っている方だと思うので、そこが理解できずに苦戦したりはなかったですね。「楽しそうだな〜、わかるわかる」くらいの気持ちでした。
──性別も年齢も違うけど、ご自分に近い部分があると。
雨宮:鹿屋ほど普段はヘラヘラしていないと自分では思うんですけど(笑)、役の気持ちを考えるとき、まったくとっかかりがないということはなかったですね。特に鹿屋が持っている子供っぽさとか、感情にすごく素直なところは似ているかな、と。
──よく食べるキャラでもありますよね。登場シーンでは食べているか、もしくは「お腹すいた」みたいに食事に関する話をしていて。
雨宮:コンビニでたくさんお菓子とかを買っていたり、ケバブを食べていたりしますもんね。“Re:CREATORS” という作品の世界で、食べ物というのは大事な部分だと思うんです。まず第2話でメテオラがハンバーガーを食べて感動しているシーンがあって、そのあともいろんな食べ物の話が出てくる。私たちが生きている現実世界よりは情報量の少ない世界で生きている人たちだから、どのキャラも情報量の多いこっちの世界の食べ物はおいしく感じるみたいで、鹿屋もやっぱりそう。食べ物がおいしくて、しかも年齢的に食べ盛りだから、食べるのが止まらないんだろうなって。そういうキャラクターの感じ方をリアルに考えて描かれているのが、この作品のおもしろいところですよね。設定されていないものはないような世界から来た人ならではの現実世界の感じ方がキャラから語られるたびに、「ああ、こういう感じ方をしているんだ」と、キャラクターを身近な人間として感じることができる。非現実世界のキャラクターが現実世界に来るという、全然リアルじゃない設定をすごくリアルに描いているところに魅力を感じます。
──このインタビューは第11話の放映後に公開されていますが、そこまでの話数で印象に残ったシーンやセリフはどこになるでしょう?
雨宮:まさにその第11話ですね。それ以降の話数を考えても、やっぱり鹿屋としては第11話が印象深いです。同い年くらいの颯太くんとふたりきりで話すこのシーンで、私の中でより深く鹿屋を知れたなと思ったんです。
──ぜひ詳しくうかがわせてください。
雨宮:まず、あんな風に颯太くんをちゃんと励ましに行ったりするんだって驚いたんですよ(笑)。鹿屋はわりと「自分がなんとなく楽しく過ごせていればそれでいい」みたいに考えている子なのかなと思っていたんですけど、ちゃんと颯太くんが落ち込んでいるのを見たら声をかけるんだな、と。そういうちゃんとした人間らしい部分が見られたことが、私の中では新鮮で。このシーンで鹿屋はギガスマキナに颯太くんを乗せて励ましますけど、私は最初のテスト収録のときに、かなり元気いっぱいな感じで演じたんです。颯太くんと一緒に話していても鹿屋には鹿屋のペースがあるのかなと考えたんです。あのシーンを演じるまで、鹿屋はとてもマイペースな子だと思っていたので。そうしたら音響監督さんから「もっと距離が近い感じで、落ち着いて話してください」というディレクションをいただいたんです。ちゃんと相手のことを気にしながら、一対一で話をしてくれるような子なんだなと。言葉を選ばずにいうと……ただのバカじゃなかった!(笑)
──(笑)。
雨宮:ちゃんとした、イイやつだったんだなと思いました。また、ふたりの長い会話の中で、鹿屋も鹿屋でいろんな経験をして、いろんなものにぶつかってここまで来ているんだなというのを感じられたんです。あそこで鹿屋のことがもっと好きになりましたね。そんな初めて見る鹿屋の一面がたくさん詰まっていたので、第11話は私にとってというか、私と鹿屋にとって大事な回だったなと感じています。
──視聴者目線でも、彼の繊細な一面がうかがえて印象深かったです。
雨宮:そうなんですよね。たぶん本人も別に、「僕、ちゃんと考えてます!」なんてアピールをするつもりはないし、まわりからも「こいつ、あんま物事を考えてねえな」って思われがちなタイプだと思うんですけど、でもやっぱり本人の中ではいろいろ考えていることとか、思っていることがしっかりあるんですよね。しかもそれをちゃんと、近い距離で他の人に届けられる子なんです。
──鹿屋と颯太のふたりが一緒にいるたたずまいも、いいですよね。
雨宮:すごくいいですよね。颯太くんも鹿屋には気を許している感じがあって、あんなにちゃんと会話したのはあそこが初めてだと思うんですけど、ふたりはすごくいい関係性なんでしょうね。
──では最後に、鹿屋の第11話以降のみどころは?
雨宮:今後、話が進むに連れて戦いがどんどん激しくなって行くんですけど、ギガスマキナに乗って本気で戦っているシーンでは、鹿屋の主人公感みたいなものをちゃんと出せるようにかなり気合を入れてアフレコに臨みました。台本を読んでいて、「こういうセリフを言ってくれるんだな」とか「こういうことを言えるやつなんだな」とうれしくなるようなセリフもたくさん出てきますし、後半はぜひ、鹿屋のカッコいいところに注目してほしいです。
──作品全体だと、第11話以降のみどころはどんなところでしょう?
雨宮:私、好きなキャラが後半に登場するキャラに固まっているんですよ! 特にもう少し先の話数で、その子が出てくるシーンでは毎回アフレコのテスト中に笑いが起こるような、強烈なキャラクターが出てくるんです。そこはぜひ楽しみにしていただきたいですね。あと、向こうの世界から来たキャラクターたちだけじゃなくて、作者陣のドラマもこれからより深く描かれていくので、そういうところも見てほしいです。いろんなキャラが登場しますけど、どのキャラクターのこともちゃんと最後まで見守っていただけるとうれしいです!
インタビュー・構成―前田久