Original Story and Character Concepts by Rei Hiroe Directed by Ei Aoki Animation Produced by Studio TROYCA Original TV Animation
interview
2017.06.03
“Re:CREATORS(レクリエイターズ)” に登場する、個性的なキャラクターたち。その登場人物たちに命を吹き込むキャストのみなさんに、本ウェブサイト限定掲載のインタビューを行いました! 日笠陽子さんに続いて、連載第2回目となるキャストは、煌樹まみか役を演じる村川梨衣さん。まみか役を演じきった村川さんが感じたこととは?
──役にはオーディションで決まられたのでしょうか?
村川:はい。本当にたくさんの方が受けられていて、しかも錚々たる方ばかりだったので、役に決まったときは感無量でした。人数だけの問題ではなくて、いただいた作品の資料を見て、「二次元のキャラクターたちが現実世界にやってくる」というありそうでなかった、みんながずっと夢見ていたような話だと思っていましたし、ひとつひとつの設定の作り込みの細かさに驚いていたんです。ストーリーもとても緻密で面白そうで、すごく参加したいなと思っていたんですよ。「これに参加できたら、わが生涯に一片の悔いなし!」みたいな(笑)。
──世紀末覇者ですか(笑)。まみかの第一印象はいかがでしたか?
村川:第一印象は可愛くて明るい、日曜の朝に放送されているような、子供向け魔法少女アニメの主人公のような感じだな、と。ただ、オーディション用の原稿に、第8話後半のアルタイルとのシーンが入っていたんですよ。それを読んで「あれ? めっちゃ致命傷負ってない……?」って。ただその段階ではまだ詳細は書かれていなかったので、どうなるかは分からなかったのですが、そのときからまみかの行く末には一抹の不安を抱いていました。
──明るく可愛いままじゃ終わらないんだな、と。
村川:そうです。匂わされていましたね。その時点で、「人の力になりたい、寄り添いたい」という、可愛いだけじゃない、ヒーローのような気持ちを持ち合わせている子なんだなとも感じていました。
──役作りの上ではどんなことを考えられたのでしょう?
村川:まみかはこの物語の中で、いちばん初めに変化していくキャラだったと思うんですよ。心の変化というか、成長が見られた最初のキャラかな、と。第2話で登場したときはまだ “マジカルスレイヤー・まみか” のキャラクターで、血も出ない、単純に正義が悪を成敗するような元いた自分の世界と、そうではない現実の世界とのギャップにとまどう。そこからだんだんと、自分の元いた物語から外れて、ちゃんと自我を持っていくというか、ひとりの「煌樹まみか」として独立した考えを持つようになる。そんなまみかの成長の部分を丁寧に描いていただいていたので、演じる側としても、とてもキャラの感情に入りやすかったです。
──役作りについて監督や音響監督とはどんな話をされたのでしょう?
村川:基本的には特に何もなかったんです。私が用意して来た演技で大丈夫というか、私の役の解釈と、求められている解釈にそこまでズレはなさそうかな、と。ただ、細かいところではみなさんのこだわりがありました。まみかはやっぱり、「可愛く描きたい」というのがあったみたいなんです。だから局所的には「ここはもっと可愛く!」という指示もありました。
──弱いところから強いところ、シリアスなシーンや可愛いところと、いろいろな顔を見せるキャラでしたね。
村川:たしかに喜怒哀楽がはっきりと描かれたキャラクターでした。笑ったり、泣いたり、悩んだり、励ましたり、キリッとしたり、叫んだり……そういういろいろな感情を表現するのは楽しかったです。お話がおもしろいから、自然と感情に入り込めますし。ほかのみなさんとの掛け合いも楽しかったです。
──そういえば、序盤から他のキャラと深い話をするシーンも多いキャラですよね。アリステリアとも、颯太とも。相手役の役者さんとは、演じるに当たって何か話し合ったりされたんですか?
村川:作品や相手の方のスタンスなどによってはそういう場合もありますけど、今回は……少しカッコつけた言い方をすると、「芝居で話す」みたいな感じでしたね。アフレコはテストをやってから本番に入るんですが、テストのときの芝居のやりとりで、お互いに芝居を通じて心を通わせるというか。お互いの芝居の温度感を感じ取って、調整するという感じでした。本当にとてもステキな環境で演じさせていただけたと思います。
──作品の中で印象に残っているシーンは?
村川:まみかの出番は全部です(笑)。第2話の初登場のときは、そのあとの話数と印象が違うまみかなんですけど、あれはあれで違った魅力が詰まっていたなと思いますし、なんといってもあの回は変身バンクがあったのがうれしかった。それからアリスちゃんとの会話シーンはどれも印象深いです。特にひとつ挙げるなら、やっぱり「まみかカレー」を一緒に食べるところ。アリスちゃんもまみかも可愛くて、ほっこりしました。アリスちゃんってすごくお硬いイメージがあったので、まさか「あーん」ってやっても食べてくれると思わないじゃないですか(笑)。あれを受けてくれるのは可愛いなぁ、って。あと、「まみかカレー」という商品があることもうれしかったですね。「まみかってこの世界で、国民的に愛されているキャラクターなんだな」と実感できて。機会があったら、あの世界にあるほかのグッズも見てみたいですね(笑)。
──変身セットとか、いろいろとありそうですよね(笑)。他に印象的なシーンはありますか?
村川:あとは……第6話の最後の、「私の世界に戻ったとき、友達みんなに──恥ずかしくて会えなくなっちゃうから」というセリフは、やはり心の成長のきっかけというか、まみかにとってひとつのターニングポイントで、カッコよかったですよね。そのあと、まみかは自分の意志で行動するようになって、颯太が悪人かどうか、真実を見極めるために、話をしたりもする。あの行動はそれまでのまみかを思うと少し意外だと思うんですよね。第2話のときは他の人の話を聞こうともしなかったじゃないですか(笑)。短いあいだにすごく成長しているな、と。颯太もきちんと話してくれたのがよかったですし。まみかのまっすぐさを颯太も感じ取ったんじゃないかと思うんです。だからちゃんと素直に話してくれた。でもそのあと、真実を掴んだまみかがアルタイルに直接会いに行っちゃうのは……「まみか、落ち着いて!」という気分でしたね。アリスちゃんとのやりとりも悲しすぎて……。
──アルタイルの深いところに最初に踏み込むのがまみかで、そう思うと重要な役回りですよね。
村川:本当に重要な……キーパーソン的な役割をさせていただけて、感謝です。でも、もう少し上手くアルタイルと話せていたら、まみかももうちょっと生きていられたのかなあ。でもまみかとしては、アルタイルも大切な友だちのひとりだから、救いたかったんですよね、きっと。それゆえに踏み込んでしまったんですけれども、純粋な想いが故に、それが仇となってしまったという感じですね……。
──アルタイルとの激突は壮絶でした。
村川:まさしくですね。アルタイル役の豊崎さんともあんなにがっつりお芝居させていただけて嬉しかったです。第8話のマジカル・スプラッシュ・フレアーは、現場でのお話になりますけど、あのマジカル・スプラッシュ・フレアーを真鍳役の坂本真綾さんが褒めてくださったのはうれしかったですね。「あまりにもいいマジカル・スプラッシュ・フレアーだったから、何回も見ちゃった」と。真綾さんに何回も聞き直していただけるなんて、幸せの極みでした。宝物です。
──素敵なエピソードですね。しかしその必殺技も届かず、まみかもお亡くなりに……。
村川:オーディション原稿で瀕死になるのは知っていましたけど、実際にどうかは知らなかったので、やっぱり死んでしまうんだとわかったときは悲しかったです。でもそれって、この作品で重要なことだったと思うんですよ。現界してきた二次元のキャラクターがこの世界で死ぬのかどうかって、それまできっとみんな気にしていたところですから。まみかが身をもってそのことを示してくれた。本当にこの作品の中で、まみかはいろいろな役割を果たしたんだなと思ってます。
──村川さん的には変身バンクから最後のマジカルスプラッシュフレアーまで、太く短くキャラの人生を駆け抜けられたと。
村川:そうですね(笑)。欲を言えばもう少しこの世界にいたかったですけど……。すごくステキなお話ですから。でも、まみかの残したものは大きいので、そういう意味では満足です。スタッフのみなさんも、キャストのみなさんも、すごくまみかを愛してくださって、ありがたかったです。
──では最後に、村川さんの考える第10話以降の見どころや、今後の展開への期待をうかがえたら。
村川:そうですね……やはり真鍳が気になりますよね。まみかの死をきっかけにアリスちゃんがかなり翻弄されていますけど、これからも強敵として、いろんなキャラクターの前に立ちはだかるんじゃないかなと。そこがどうなるのかは、この作品のひとつの見どころかなと思います。あと、これからも実はまだまだたくさんの新キャラが登場するんですが、かなり濃ゆいキャラがいるみたいなんです! そのあたりも楽しみにしていただけたらと思います。もちろん、まみかによって多少明らかになりましたけど、アルタイルの背負っているものとか、心に秘めているものとか、まだまだ謎も多いです。そこがどうなっていくのか。そしてセレジアやほかのみんなが、最終的にどうなるのか。元の世界に戻るのか、それとも倒れてしまうのか。私自身もいちファンとして楽しみにしています。視聴者のみなさんにも、引き続き楽しみにしていただけたらうれしいです。
インタビュー・構成―前田久